インタビュー
なぜいま中学受験か
【第4話】関西の中学入試動向
毎日新聞社
浜学園の松本茂学園長と日能研関西の森永直樹取締役(以下、敬称略)へのインタビュー第4話は、関西の中学入試の動向や受験準備に入る時期、学校選びの方法について解説します。【安部拓輝】
■10年連続で右肩上がり
関西の中学入試の動向は。
森永
関西では中学受験率が2016年から10年連続で右肩上がりの状況が続いています。そのきっかけは大学入試改革でした。特に大阪の盛り上がり方は突き抜けていて、東京や首都圏よりも上を行っています。それに続くのが兵庫や奈良、京都というところです。
松本
それに私学の授業料の無償化政策が追い風になっているのですが、少子化は着実に、しかも急速に進んでいます。だから私学が大にぎわいしているというわけではなくて、10年先を見越して危機感を持っているのです。その危機感が先生たちの自己変革を促している。本当に努力されています。

森永
大事なのは、これだけ中学受験率が上がっていても、入試倍率がとんでもなく上がっているわけではないところが、関西の特徴ですね。受験から逆算したプロセスを組んで準備していけば、20年前よりも目標を実現しやすい状況になっています。

■無理のない受験の準備を
中学受験への準備はいつごろから始めるのですか。
松本
小学校のカリキュラムは標準的な学力を1年生から積み上げる方式でできています。一方で中学受験では、6年生の終わりにここまでは必要だという学力が問われます。これに応えていくには6年生の夏ごろまでには単元を消化して試験問題に慣れていく必要があります。公立小学校の授業では追いついていない、もしくは教えない部分が生じていると、それをカバーしながら志望校の入試の演習を同時並行で進める必要がありますので、負担が大きくなる可能性があります。未消化になりがちな部分を4年生のころから積み重ねておくと無理なく準備をしていけます。
森永
そうですね。受験まで3年あれば足りないことはないですね。1年や2年で間に合う子もいますが、その代わり相当に凝縮された準備が必要になりますね。

■学校訪問は中学年から
学校選びの方法を教えてください。
- 松本
まずは「毎日進学博 私立中学受験フェス」のような機会に参加して多くの学校の先生の話を聞いてみること。良さそうだなと思った学校には、できるだけ足を運んで見学してみることをお勧めします。学校で過ごしている生徒の姿を見ると学校の雰囲気が確実に分かります。ただ、高学年になって見学に行くと、自分の成績とその学校の偏差値がとても気になって「ここは入れるかな、無理かな」という見方をしてしまうので、学校の空気感を客観的に観察できるように少し早めにスタートしてはどうでしょうか。
- 森永
「この学校いいな。でも成績が届かないな」と思うかもしれませんが、そうやって目標ができます。そこからスタート。この20年間で関西の私学は選択肢が増えました。選び方の視野も広がりました。難関大学への進学実績も重要事項ではありますが、それだけで決めるのではなくて教育の中身や学校の特徴を加味して6年間でどんな成長が期待できるのかを考慮するようになりました。その意味では選ぶ親子も選ばれる学校も互いに進歩していける関係が生まれているのではないかと思っています。
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松本茂
奈良県出身。進学教室「浜学園」学園長。浜学園で26年間にわたって社会科の講師を務め、2022年4月に学園長に就任。関西を中心に首都圏や東海圏でも授業や受験指導を担当している。
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森永直樹
日能研の教室統括部長などを経て2017年に取締役営業本部長に就任。中学受験イベントで私学教育の魅力を伝える講演などに取り組んでいる。
2025年12月10日現在
松本さんと森永さんへのインタビュー企画は終わります。次回からは、特色ある教育活動を深掘りする新企画「学びのフロンティア」を始めます。